コンデジの価格破壊から見えるもの Web関連 2011年11月17日 (c) QUALIA studio|ストック写真 PIXTA 最近、1200万画素の国内某メーカー製ブランドのコンパクトデジカメが、9000円前後で売られているのを目にしました。ノーブランドに至っては、5000円!! 今から5年前、800万画素のコンパクトデジカメを44000円で手に入れた頃を思うと、超価格破壊、ハイパーデフレ。 こんなに安くなった訳。 3つにまとめました。 続きは下記から 一つ目は、製品のOEM・EMS企業からの調達 これまで、コンパクトデジカメ(以下、コンデジ)は各メーカーの自社工場、あるいは提携企業に生産させて出荷するのが通常でした。 ※ちなみに「デジカメ」という名称は三洋電機(現パナソニック)などの登録商標です。 しかし、この数年で家電機器、テレビ等他のAV機器と同様に、韓国、台湾、中国メーカーがこの分野にも進出し始めました。 例えば2年ほど前、某パソコンショップに「ヤシカ」のブランド名で低価格コンデジが並んでいるのを目の当たりにしました。 「ヤシカ」といえば、もとは日本の企業であり、京セラに吸収合併された後に「YASHICA」ブランドでカメラ製造された後、香港企業に商標権が売却され、現在は「エグゼモード社(東京)」がブランド使用権を獲得して製品が販売されたという経緯があります。(参照:ウィキペディア) この事例のように、ブランド使用権を獲得した新興国企業が、低価格商品を大量に生産して、日本を始め欧米各国や東南アジアなどで売り始めました。 当然、日本企業も国内で製造していてはコストがかかりすぎるため、台湾企業などにEMSという形で生産を委託し、それを売る事でなんとか利益確保をしてきた訳ですが、さすがにそろそろ限界に近いものがあるようです。 台湾等のOEM・EMS受託企業も、各国から同じような注文を受けるため、自社では工場を持たず(ファブレス)さらに低コストの工場で作ったものを納入し、利益を得るようになります。 この生産委託という流れのなかで、当然技術の移転や流出でさらに価格が下がる懸念は予想できる事でしょう。 デジカメ、液晶テレビ、パソコンなどのデジタル機器は、このような仕組みで低価格競争にさらされるようになった訳です。 二つ目は、昨今の円高 これはもう、言うまでもありませんね。 トヨタ自動車を筆頭に、日本を代表する輸出型企業が軒並み、円高によって利益を失っています。 デジタル機器業界は、ほとんど国内生産はもう限界を超えていると見受けられます。 先日も、あのパナソニックが国内のプラズマテレビパネルや液晶パネルの生産縮小を発表し、業界を震撼させています。 日立もテレビ事業からの撤退を表明し、東芝、ソニーも台湾や韓国からパネル調達をしています。 テレビ事業は家電の花形だと思っていたのは、もう既に過去の話なんでしょうか。 カメラ事業も同様に、高付加価値のデジタル一眼やミラーレスの高価格帯製品に企業は力を入れるはずですから、それよりランクが下の機種は、更なる低価格化に歯止めがかからないでしょう。 三つ目は、なんといっても携帯端末の進化。スマホの普及。 iPhoneなどのスマホ登場以前は、ガラケー全盛でした。この頃は、国内メーカーの携帯電話が幅を利かせており、外資の参入は難しい環境でした。 日本国内の通信事業者との関係もあり、外資を事実上閉め出していました。 しかしながら、ポストガラケー時代の今、スマホが携帯市場を席巻したと同時に、デジカメ市場をも飲み込みました。 特に画素数がミドルクラスで、且つコンデジの得意分野であった「誰でも簡単に撮れるカメラ」を売りにしていた機種の機能が、携帯端末に備わってしまったのです。 一方のガラケーにおいても、SIMカード方式の導入により、スマホに乗り換えて端末解約をしても、カメラ機能が使える機種も存在します。 これでは、消費者がデジカメを要らないと思っても無理はないかもしれません。 需要としてはなくならないにしろ、価格下落は必然的だったのでしょう。 まとめ iPhoneなどのカメラで十分なマス層と、画質や「カメラ」そのものにこだわる層にはっきり別れつつある現状を分析し、魅力ある製品を日本企業に出し続けて欲しいと思った、今日この頃...。 [2回]PR